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| 人事労務管理用語集 |
| エンプロイアビリティ 【Employability】 |
| 労働者が労働市場において通用する職業的能力、すなわち就職や再就職が可能となる就業能力をいう。産業構造の変化により労働移動が活発化する中で、企業の枠を超えて通用する職業能力が問われるようになったことで注目されるようになった概念。1980年代の米国では企業のダウンサイジングが進み長期雇用形態が崩れたことから従業員のモラールダウンやそれに起因する生産性低下が問題となった。そのため、1990年代から「従業員に永続的な雇用は保証しないが、他社でも通用する高い技術や能力が身につくよう教育・訓練の機会を提供する」という考え方のもとに、エンプロイアビリティを高めるための支援が重視されるようになった。 |
| カフェテリアプラン 【Cafeteria plan】 |
| 選択的福利厚生制度ともいう。健康保険、人間ドック、フィットネスクラブ、育児介護支援、法律相談、住宅費、自己啓発費など、さまざまな給付メニューの中から従業員が自由に選べる。従業員の多様なニーズに対応でき、同業他社との差別化や優秀な人材の獲得のための方策としても位置づけられている。日本では1995年から企業が導入し始めた。メリットとして、@従業員の自律と自己責任を促す、Aライフステージに応じて必要なものを選択できる。B育児・介護など、新しいニーズに対応しやすい、C有給休暇、保養所など多忙な人が使えないという不公平感をなくす、などが挙げられている。 |
| 企業の倫理憲章 |
| 正式名称は「大学・大学院新規学卒者等の採用選考に関する企業の倫理憲章」。新卒学生の就職活動早期化を防ぐための取り決めであった「就職協定」が1997年に廃止されたのを受け、それ以降日本経団連が毎年公表し、企業に対して責任と秩序ある採用活動を行うことを求めている。「内定日は10月1日以降」「卒業学年に達しない学生に対して面接など実質的な選考活動を行うことは厳に慎む」などが規定され、またその実効性を高めるため、2004年から賛同企業連名による「倫理憲章の趣旨実現をめざす共同宣言」も公表している。 |
| グラス・シーリング 【Glass ceiling】 |
| たてまえ上は男女平等に見えるが、実際には女性の昇進・昇格を阻んでいる見えない壁をグラス・シーリング(ガラスの天井)という。1980年代後半からアメリカで盛んに論じられるようになり、1991年には公民権法第2編グラス・シーリング法が制定された。日本においても女性の能力を最大限に活用するためにグラス・シーリングを撤廃し、有能な女性を登用する気運が高まってきている。 |
| コーチング 【Coaching】 |
| コーチ(指導者)が、個人またはチーム(クライアントと呼ばれる)が自ら目標を設定し、問題を解決し、成果を達成していけるように育成していく手法。コーチは話を聞き、観察し、場合によっては質問や提案を行うなど、クライアントとの双方向のコミュニケーションを通じて、クライアントの中から目標達成のために必要な能力や解決策・戦略などを引き出すことに務める。変化への迅速な対応が求められるビジネスの現場において従業員の育成のために注目されている。 |
| 参考情報 |
| 日本コーチ協会 (http://www.coach.or.jp/) |
| コンピテンシー 【Competency】 |
| コンピテンシーとは、職務の内容や仕事の役割に対して期待される成果を生み出すために発揮される能力(行動特性)のことを意味している。従来の日本の主流であった職能資格制度においては従業員の保有能力が評価されていたが、保有能力が高いことが必ずしも成果へとつながるわけではないことから、より成果を導きやすい顕在化された能力の一つとしてコンピテンシーの導入が注目された。成果主義人材マネジメントの一環として、ハイパフォーマーの特性をベンチマーク(指標化)し、組織における評価、採用、昇進・昇格、人材発掘、教育等に活用されている。 |
| 360度評価制度/多面評価 【360-degree feedback】 |
| 本人自身、部下、同僚、上司、顧客など、社員を取り巻くあらゆる人が単なる業績だけではなく、組織への貢献度や行動特性など多面的に評価する人事評価制度。イギリスの諜報機関で用いられたものが最初とされ、1980年代中期から1990年代にかけて英米の一般企業の間で広がり、日本でも1990年代末に広がった。成果主義の導入による企業内格差の拡大で、評価制度やその運用に公正性と開放性、納得性が要求されるようになったことで、360度評価の導入に企業の関心が集まった。また、近年、コンピテンシー評価の導入により、行動特性を観察する必要性が高まってきたことも、導入する企業の増加につながっている。 |
| 従業員満足 ES 【Employee Satisfaction】 |
| 企業の重要なステークホルダー(利害関係者)である従業員の満足感を引き出し、従業員の働きがいを高めることで、企業、組織等のパフォーマンスを高めていくという考え方。1990年代以降の極端な株主重視の経営への反省から注目されるようになった。CS(顧客満足)を高めるためにはES(従業員満足)は不可欠であり、ESを高めることで顧客に最高のサービスを提供できる。ESを高めることが企業業績の拡大、企業価値の創造、ひいては株主満足の向上にもつながるとされる。 |
| 職務再設計 【Job Redesign 】 |
| 高年齢者や障害者などの就業者を企業活動の大きな戦力として活用するため、職場環境と職務を見直して十分に能力を発揮できるように整備すること。就業者が生理的・体力的に負担にならず、かつ生産性を維持・向上できるように仕事の仕組みを見直したり、機器・設備を改善したりする。一人一人の状況を把握して対応することを「個別職務再設計」といい、企業全体として業務システムを見直すことを「システム職務再設計」という。 |
| ジョブ・シャドウイング 【Job Shadowing】 |
| 若年層向けのキャリア教育手法の一つ。中学生・高校生などの10代の学生・生徒が、職場で働いている職業人に陰のように密着し観察することを通じて仕事の内容や職場の仕組みを理解させる。社会には様々な仕事・働き方が存在することを知ることで、将来の進路およびキャリアの選択肢に幅を持たせようという試み。若者の失業率の上昇に悩む米国で「学校から職場」への移行プログラムの一環として、1996年から始まった。毎年2月2日には全米各地で「ジョブシャドウ・デイ」が開催され、多くの子供たちが参加する。日本でもニートやフリーター増加への対応策の一環として導入している学校も増えている。 |
| 人的資源管理 【Human Resources Management】 |
| 経営資源の最適配分を行う経営戦略の一環として、企業の人的側面や組織構造を捉える考え方。主に制度面を扱う従来型の「人事・労務管理」に対して、「人的資源管理」は人事・労務の諸制度や組織構造が企業経営全体の中でどのような役割を果たし、また経営戦略といかに結びついているかに重点を置く。経営環境の変化に適応するための能力開発に注目することにも特徴がある。最近では、経営における人材の価値をさらに重視するHuman Capital Management(人的資本管理)の考え方へと変わってきている。 |
| スキャンロン・プラン 【Scanlon plan】 |
| アメリカ・マサチューセッツ工科大学教授のJ.スキャンロンが1940年代に提唱した成果配分方式の一種。企業の総売上高に対する賃金支払額の比率を一定と考え、もし労働者が作業の改善などによって賃金支払額の比率を減ずることができたならば、その節約分の一定割合をボーナスとして労働者に分配しようというもの。スキャンロン・プランは個人より集団に狙いを置いており、従業員に絶えず生産コストの節約を考えさせ、実行させるようにするため、合理化に対して強い影響を与えるとされる。 |
| ダイバーシティ 【Diversity】 |
| 原語の意味は「多様性」。人種、国籍、年齢、性別、身体障害、学歴、文化、性格、価値観など、人々の持つ多様性を排除するのではなく、受容し活用していく人材管理手法をダイバーシティ・マネジメントと呼ぶ。1980年代後半に、多民族・多人種国家のアメリカで、労働者の多様化に対応するために生まれた考え方。近年、日本においてもグローバル化、若年労働力の減少、女性の職場進出、外国人労働者の増加などにより、多彩な人材を登用・活用しようとする動きがある。また、ダイバーシティ・マネジメントは変化対応が求められる今日、一人ひとりの多様性を生かして、創造性、モティベーションを高め、多面的な思考を取り込みながら、市場に対して柔軟に適応しようとする戦略的なマネジメント手法ともなってきている。 |
| 動態的組織論 【organization as a system of consciously coordinated activities】 |
| アメリカの経営学者C.バーナードなどが1930年代に提唱した新しい経営・組織管理論。バーナードは、組織は時間的にも空間的にも常に変化するものであり、コミュニケーション・共通目的・協働意思の内的均衡によって成り立っており、この均衡は動的均衡であるとした。硬直した組織は変化に対応できず危機に瀕する。そうならないためには、企業組織が開放的で、直接的な話し合いが行われ、自由で、失敗を許す、再挑戦できるなどの企業風土が確立している必要がある。このような条件を満たす動態的組織は組織内に新しい知識・情報・テクノロジーなどが流入し、発展し、創造的な組織へと常に成長を続けるとされる。 |
| ナレッジワーカー 【Knowledge worker】 |
| 知識労働者。高度の専門能力を有し、多くの産業において中核的な役割を与えられ、知識の創造、伝達、または応用を仕事の目的としている労働者をいう。米国の経営学者P.ドラッカーが1959年にその著作『変貌する産業社会』の中でその概念を紹介した。新製品やサービスを次々と生み出し、企業の成長と収益に大きく貢献する労働者で、具体例としては、経営管理、財務、法律、医療、情報、研究開発、メディア、マーケティング、教育などに携わる人材が挙げられている。 |
| ハロー効果 【Hallo Effect】 |
| 人材評価でよくある偏り傾向のひとつ。人材を評価するときに、全体や特定の部分の強い印象に引きずられ、他の評定項目についても同様な評価を与えてしまう心理的傾向をいう。一流大学出身だから企画力があり仕事でも成果をあげるだろう、攻撃的でなく口数が多くないタイプだから営業や対人関係業務には向かない、などもこれに当たる。ハローとは後光という意味。 |
| フリンジ・ベネフィット 【Fringe Benefit】 |
| 付加給付と訳され、企業から従業員に対して、本来の給与に加えて提供される現物給付やサービス。通勤手当、制服の支給、慶弔金、残業食事代、社宅、保養所、社員旅行、年次有休の追加、退職年金・医療などに対する事業主拠出、団体保険、各種低利貸付などのいわゆる福利厚生の他に、資格取得や自己啓発のための社外研修・講習の受講、自分でテーマを設定できる海外視察といった教育・研修なども含まれる。公的年金や健保・労災・雇用保険など法定の福利厚生サービスは含まれない。 |
| ポジティブ・アクション |
| 雇用において不利な現状を解消するための積極的な措置のこと。特に女性関連で用いられることが多い。この場合、雇用において男女の均等な機会や待遇が確保されることを促進するために、個々の企業がアンバランス解消のために行う自主的・積極的な取り組み。男女労働者間に事実上生じている差を解消するためには男女雇用機会均等法を遵守するだけでは不足であり、企業が積極的に制度や方針の面で取り組む必要があるとされる。たとえば、女性管理職がきわめて少ない企業の場合、女性管理職候補者への研修実施、昇進・昇格試験受験の奨励、昇進・昇格基準の明確化などの具体的改善策を実施することがポジティンブ・アクションに当たる。1999年施行の改正均等法第20条には、企業がポジティブ・アクションに取り組む場合、国が相談その他の援助を行うことができると明記されている。米語圏ではアファーマティブアクションと言われる。 |
| メンター 【Mentor】 |
| 職場において適切な指導・助言を行い手本ともなる経験豊かな良き助言者、指導者、相談役ををいう。語源はギリシャ叙事詩オデュセイアに登場する王子の指導役メントール。アメリカで1970年代に始まった組織全体の発展や生産性の向上を目的として開発された人材教育プログラム。有能な先輩社員や上司がメンターとなり、若く経験の浅い社員(メンティーあるいは プロテジェと呼ばれる )に対して、主に仕事やキャリア上で助言、サポートなどを行い、気づきと自律的成長を助ける。日本では1990年代初頭に注目されて以来、社内のコミュニケーションの希薄化や離職者の増加などを背景に導入する企業が増えている。 |
| CDP 【Career Development Program】 |
| キャリア開発プログラムなどと訳される。企業が、従業員一人一人の希望や特性を考慮しながら、適切な教育・研修、ジョブローテーションなどによって、事業展開上必要な人材を中長期的、計画的に育成するためのプログラム。CDPを導入するためには、自社の職務や必要人員を分類し体系化したキャリアフィールドの作成、キャリアカウンセリングなど個人別キャリアプラン作成の支援、能力開発機会の体系化、CDPの展開状況を管理するための人事情報システムなどが必要となる。また、経営の環境変化への敏速な対応が求められる現代においては、企業が必要とする人材も変化しているため、継続的にキャリアプランを見直すことが欠かせない。 |
| EAP 【Employee Assistance Program】 |
| 1960年代に米国で生まれた従業員に対する相談援助プログラム。当初は多くの企業にとって重大な問題であったアルコール依存症の従業員を精神的、身体的に援助するために開発されたが、現在では仕事問題、家庭問題、麻薬問題など様々な問題に対応するものとなっている。日本ではメンタルヘルス対策として注目された。大きく分けて、社内にカウンセラーを置き、従業員のケアを行う社内型と、雇用関係のない外部の企業・機関がサービスを提供する社外型との2タイプがある。 |
| 参考情報 |
| 国際EAP協会 (http://www.eapassn.org/) |
| KT法 【Kepner‐Trigoe Rational Process】 |
| 米国の社会心理学者C.ケプナーと社会学者B.トリゴーの2人が1960年代半ばに提唱した、問題分析と意思決定のための思考法。管理者に対して、問題解決を図る上で、「状況分析」「問題分析」「決定分析」「潜在的リスク分析」という秩序だったプロセスにおける具体的な方法を示した。企業においても、KT法の4つのプロセスを用いることによって、課題解決においてより良い意思決定が行え、そのスピードも向上するとされる。 |
| MBO(目標による管理) 【Management by Objectives】 |
| 個人またはグループに職務について具体的な目標を設定させ、その達成度合いにより評価するマネジメント手法。米国の経営学者P・ドラッカーが1954年に著書「現代の経営」の中で提唱した。MBOは「目標管理制度」と訳されるが、正確には「目標による管理」。日本では1960年代後半から多くの企業で導入された。MBOでは、どのような目標とするか、どうしたら目標を達成できるか、具体的にはどのようにするか、結果をどう評価するか、等々を部下と上司で話し合い、業務改善や能力開発を行う。MBOの考え方の特徴は、目標の設定から実行、事後の評価、教育訓練等すべてのプロセスを自己の責任で管理することであり、それが仕事のやりがいや仕事への意欲を高めるとされる。 |
| PM理論 【PM Theory of Leadership】 |
| 日本の社会心理学者、三隅二不二(じふじ)が提唱したリーダーシップの行動形態論。集団機能の観点からリーダーシップを2つの次元に大別した。PはPerformanceで、集団における目標達成ないし課題解決へ志向した機能(集団の生産性を上げる働き)。MはMaintenanceで、集団の自己保存ないし集団の過程それ自身を維持・強化しようとする機能(集団のまとまりを強固にする働き)。PとMの機能の強弱により、リーダーシップはPM型、Pm型、pM型、pm型の4つの類型に分けられる。 |
| X理論 【Theory X】 |
| 1950年代に米国の経営学者D・マグレガーが提唱した、人事管理理論における旧来型の考え方であり、権限や命令を中心とする組織論の背景にあるとされる考え方・人間観。「人間は生来仕事が嫌いで、できればしたくないと思っている」「そのため、強制や統制、命令されたり、処罰すると脅されたりしなければ十分な力を発揮しない」「命令されることを好み、責任を回避したがり、野心を持たず、安全を望む」と考える。このX理論に従って組織運営を行うと、いわゆる「アメとムチ」による経営となる。しかし、マグレガーは、企業と従業員の相互依存関係が大きくなり、また従業員が仕事によって社会的欲求や自我の欲求、自己実現の欲求といった高度な欲求を満たすことを望むようになった現代社会では、「アメとムチ」で従業員にやる気を起こさせることはできないとした。そしてこのX理論に替わる企業運営の土台とすべき考え方として唱えたのが「Y理論」である。 |
| Y理論 【Theory Y】 |
| 1950年代に米国の経営学者D・マグレガーが提唱した人事管理に関する理論。X理論と対立する概念で、マグレガーは企業経営を革新する端緒になると考えた。そこでは「普通の人間は生来仕事が嫌いではなく、条件次第で仕事は満足の源となる」「人は自ら進んで定めた目標のためには意欲的に働く」「目標達成の報酬としては、仕事によって満たされる自我や自己実現の欲求などが重要である」など、人間の成長・発展の可能性を強調している。Y理論による組織運営では、企業と従業員個々の目標が統合されること、すなわち従業員が企業目標を理解し、自発的に自らの目標を定め、自己統制していくよう条件を整えることによって、企業は従業員の献身的姿勢を引き出し、能率的に目標を達成できるとされる。企業目標と個人の自主的な目標の関係やその人間観はMBO(目標による管理)とも共通点があるといえる。 |
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